未明

未明

蛇口の一滴が
ステンレスを叩く
絡み合った神経の一筋が
光を放ち
背中をぴくりと震わせる

夜に撥ねられた猫は
わずかな息で
自ら溝に転がりこむ
雨の匂いがしない
それは救いでもなく

手探りで腕時計をはめ
煙草に火を灯す
脳細胞の隙間に染み込む煙が
数時間前のアルコールの
機嫌を確かめる

夜に塗り込められなかった烏は
水曜日のゴミを空に運び続ける
黄色いランドセルのあの子は
電線に絡んだナプキンを
見上げることだろう

紐のない運動靴に足を滑らせ
鍵もかけず部屋を出た僕は
泥だらけのカブに跨り
キックで今日を占う

アイドリングで黙り込んでしまった
蛙よ、もう寝ていいから

あの闇が空と山に分かれる頃
配達を終えた僕の今日が始まるのだ

デスペラード口ずさみながら
ローに踏み込む

そう、僕の未明