OUT

OUT 上  講談社文庫 き 32-3
OUT
桐野 夏生

孤高で美しいかもしれない「雅子」。
しかし、ベクトルは太く大きく破滅の方向へ向いて行く、なんら救いのない物語だ。

常識と非常識を隔てている薄い膜をすり抜けて
「OUT」の世界へと移行してゆく筆力の鮮やかさは、僕をを不安にさせる。
そのリアリティさに吐き気を覚え、朝の通勤電車では青くなってページを閉じてしまう。
でも、一日の泥を被った後の帰路では、なんとか読み進めることができるのだ。

登場人物の誰ひとりとして感情移入できるものなどいないはずなのに
狂気の「佐竹」を嫌いになれないのは何故だ?

全ては「雅子」と「佐竹」が邂逅するための、
まるで神話のような物語だからなのか、とは言い過ぎか。