忘れられた子供たち

忘れられた子供たち スカベンジャー (ハートシリーズ)
忘れられた子供たち スカベンジャー (ハートシリーズ)
四ノ宮 浩


1995年に上映された映画で1989年から6年をかけて作られたドキュメンタリーだ。フィリピン・マニラの北部にある当時東洋最大のスラムと言われたスモーキーマウンテンで、ゴミ拾いをして生活をしている子供たちに焦点を当てて撮影されている。

一日300台のトラックが運んでくるマニラ市内のゴミに、背中に大きなカゴを背負った大人や、ドンゴロスの袋を引き摺った子供たちが群がり、その中からビンや金属や拾って、その日のうちにジャンクショップに売りにいくのだ。午前中の数時間で30kgほど集め、30ペソ(150円)になるそうだ。

ゴミの奪い合いからケンカが絶えず、殺人になるケースも少なくないらしい。映像にも殺された人が映し出されていた。
またゴミの中には、赤ん坊の死体や、切断された体の一部が混じっていることもよくあり、太ももから切断された足がフィルムに納まれていた。
悪臭や吐き気から逃れるためにシンナーを吸うんだとJRと名乗る青年が言っていた。その彼は幼いときに親と離れ離れになり、ゴミの中からかき集めたもので家を作り、一人で暮らしている。

エモンと言う13歳の男の子は、母親と幼い二人の弟たちを養うために、夜中に町のゴミを拾って生活をしている。後三人の兄弟がいたが、ゴミ山でトラックに轢かれ死んだり、はしかで死んだり、行方不明になったりで、三人を亡くしているが、この映画の撮影中にも、すぐ下の弟が行方不明になっている。

20年以上の前の話だから、たぶん今は少しは良くなっていることだろうと思いたいが、最新作「BASURA」がこのシリーズの三部目として上映している最中で、そのイントロダクションを読むと、どうもあまり変っていないことが伺える。

この世界の貧富の格差は、いったいなんなんだろう。
「モスキートタウンに生まれなくて良かった。」と心のどこかで思ってしまうが、世界は何処かで繋がっているのだから、この人たちの貧困のお陰で、僕たちはもしかしたら多少の贅沢ができているのかもしれない。

しかし、日本の自殺者数は毎年3万人を超え、自殺率は10万人に対して24人のところ、フィリピンは2人だそうだ。日本人とモスキートタウンに住むフィリピン人とではどちらが幸せなんだろう。この映画の最後のほうで、JRの妻になった女の子が語った言葉が印象に残った。

「私たちにいい生活は必要ない。1日3回食べられて、子どものミルク代が不足しなければいい。私たちは家族みんな一緒なので幸せですよ。」

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スカべンジャー
再生可能なゴミを拾い、転売して生きる人々。