昨日、「広河隆一緊急報告会・祝島-上関原発建設を拒否する人々」に行ってきました。
恥ずかしながら僕は最近まで地名さえ知りませんでした。ましてやそんな場所に原発が建設されようとしていることも、そしてそれに対して28年間も闘ってきた人たちがいることも知りませんでした。その人たちが今、押し潰されそうになっています。
祝島の周辺には8つの漁業組合があるのですが、その内の7つの組合は中国電力からお金をもらって建設に賛成しています。ただ一つ、祝島の人たちだけが闘ってきたのでした。それは、島民の人たちは「お金に換えてはいけないものがある。」と海を守っているのです。
毎週月曜の朝には島民が集まりデモを行っています。それが先日1040回目を迎えたそうです。中国電力の人たちは、対岸から船でやってきて拡声器を使い島民たちに向かって説得を1時間置きにするそうですが、島のお母さんたちも負けじと拡声器を使って応答するそうです。電力会社の人たちは仕事としてそれを行っているわけですが、島民の人たちは反対運動のために、仕事をまともにすることも出来ず、生活は大変困っているそうです。また、島の行事、例えば冠婚葬祭さえもおちおち出来ず、くじけそうになることもあったそうです。
工事をさせないために、埋め立て用のブイを船で囲んで持ち出せないようにしているのですが、島の人たちが手薄になったことを知った中国電力は強行突破を図ろうとしました。それで県外から応援にやってきたシーカヤックの人たちが海に出たのですが、海上保安庁や推進派の漁船までやってきて、船で波を起こしカヤックを転覆させようとしたり、逮捕されそうになってしまいました。その報告を受けた祝島の人たちは急遽船を出し、カヤックの人たちを助け出すというような場面もあったそうです。広河さんがこのあたりの話をされた時は、感極まり何度も声がつまっていました。
しかし、このようなことを、大手マスコミはほとんど報じることもなく無視をしています。それは、そのために孤立無援状態にさせられているということです。この祝島の人たちが守ろうとしているのは、「私たち」であるというのを知らなければなりません。
この会に京都大学原子炉実験所・小出裕章助教も話を聞きに来られていました。広河さんに指名され檀上でいくつかお話をされました。 原子力の平和利用に夢を託して、その研究の道に入られたのですが、地方にしか建設されない原子力発電という事実に遭遇し、考えた結果、「原子力発電所は危険すぎて都会には建てられない。」という結論になったわけです。原子力発電所が日本にまだ三基しかない時から、「原子力発電所を廃絶したい。その為に私の知識を使おう。」と活動をされてこられました。
小出先生の話は明快です。「ひとつの原子力発電が一年動くたびに、広島原爆がばら撒いた死の灰の千発分を生んでいる。日本には原発が53基あるわけだから、それが一年動くと5万発を作り出していることになる。その死の灰は現在の科学では消すことは出来ず、閉じ込めることしか出来ない。その閉じ込めなければならない時間は百万年である。どうしていいかわからないし、未来に残していくしか仕方がない。だから、まず一番に必要なことは、どうしていいかわからないものを生む原子力を即刻やめるということだ。電気が足りるとか足らないとかいうことではなくて、そんなものはどんな理由があってもやってはいけない。」