9日、うずみ火主催の「ジャーナリスト入門講座」を受講してきた。この歳になってジャーナリストを目指しているわけではない。ただの好奇心である。
まずは、沖縄タイムス記者の謝花直美さんのお話があった。ジャーナリストとはなんぞや。それはひとつの生き方であって、死んで行く時に、「ああ、あの人はジャーナリストだったんだ」と言われたいと謝花さんはおっしゃっていた。なんてカッコいい人なんだ。常に弱者・少数派に立ち、彼ら彼女らの声を届けて行く回路になりたいとも言っていた。それは自らの立ち位置、女性であること、沖縄人であることに身を置いているからでもあるからだ。
しかしそれは、沖縄タイムスの社風や社の方針で謝花さんがそんな立ち位置で仕事をしてきたというわけではなく、「出過ぎる杭は打たれることはない」という信念のもと、社内の逆風にも打ち勝ちながら記者を続けてこられたようである。沖縄タイムスが本土とは違った独自の記事を掲載し続けてきたのは、謝花さんのような記者がいたからこそなんだと、強く思った。謝花さんは、パワフルで熱く、そしてピュアな人だった。
二時間目は、朝日放送のゼネラルプロデューサーの奈良修さんのお話だった。始まるなり彼は苦笑しながら、「シュールな話の後で戸惑っている」とおっしゃった。決して謝花さんを否定しているわけではないとは思うが、この発言はリアリストとして業界を生き抜いてきたことや、彼の美意識が表現されているのではないかと思った。それは、「やりたい仕事があれば、その何倍もしたくないことをしなければならない」という発言にも表れていると感じた。
奈良さんのお話は、入社してから彼が遭遇してきた様々な事件をもとに、裏話などを交えながらのとても楽しいものであった。おそらくほとんど同い年であるようなので、彼が渡り歩いてきた世界の話は、嫉妬を覚えるくらい華やかなもので、うらやましい限りである。
三時間目は、うずみ火代表の矢野さんから、記事の書き方についての講義だった。とても単純で基本的なことだけを教わったが、それがとても難しいようにも思える。四百字で謝花さんか奈良さんのお話の要旨をまとめるという宿題が出た。感想を交えずに客観的にまとめなければならないのだ。翌朝取り組んだが、ほんとに難しく、納得のいくものは出来なかった。
そして五時過ぎから飲み会が始まった。ジャーナリストを目指している学生から、現役の新聞記者や福祉や人権センター関係者など二十名の方々が参加して、沖縄料理を肴にビールをどんなけ飲んだことか。また翌土曜の第二回目ジャーナリスト入門講座が待ち遠しい。