八月のシャハラザード

劇団大地の牙の「八月のシャハラザード」というお芝居を観てきた。

—貧乏劇団の貧乏役者(天宮亮太)が海で死んだ。水死体役の練習をしている時に波にさらわれたのだ。水着で浮輪を携えた姿の亮太は夕凪という案内人に連れられ、あの世へと向かうシャハラザードという船に乗せられそうになるが、恋人(ひとみ)に一目会わなければ死ぬに死にきれないと、逃亡する。その頃、強盗犯(川本五郎)が、仲間に裏切られ瀕死の状態。そんな二人が偶然出会い…。亮太の恋人への想いと、川本の裏切られた仲間への復讐心が重なり、劇団員を巻き込んだ騒動へと展開していく。—

とても有名な芝居であったようだ。ネットで検索するといろいろなところで再演されている。キャラクターがはっきりしているので、やりやすいからだろうか。高校や大学の演劇部なんかがやってみたいと思うようなストーリーだ。

演出にもよると思うが、少しアニメチックに感じた。ファンタジーだから仕方ないとは思うが。でも、「死」に対するレスペクトが感じられなかった。葬儀の後で、いくら友人だったとしても亡くなった人の悪口を言うだろうか。恋人が亡くなったことがいくら信じられないとしても、現実感がないとしても、あっけらかんと笑ったり、一緒になって悪口を言うだろうか。このあたり観ていてしらけてしまった。いくらファンタジーでも超えてはいけないリアリティの喪失だ。

お芝居というのは、このあたりは演出でどうにでもなるのだろうか。それともこれは脚本の問題なのだろうか。現場を知らない僕はわからない。

そうそう、強盗犯川本五郎役の西村昌広さんは、なかなかカッコ良かった。昭和のギャングって感じで、ドキドキした(笑)。それとその仲間の梶谷役の南田明宏さんも、小心者の感じが良く出ていて、味があって良かった。