「おじいちゃん、おじちゃん、目開けて」と
お袋が親父の頬をたたく
うっすらと目をあける
ひ孫を連れて行った
2歳のひ孫は首を振って、怖そうに泣き始める
「いやー、いやー」と
お袋が親父の目ヤニを拭こうとしても
もう親父は怒らなくなった
ほんの少し嫌な顔をするだけ
点滴の針がなかなか入らなくなってきた
もう骨と皮だけになっているのか
「いつになったらご飯たべさせてくれるんやろう」
とお袋がいう
帰る頃には少し慣れたひ孫
「バイバイ」と親父に手を振る
親父もかすかに「バイバイ」という
もうすぐ台風が来る
台風が去れば梅雨があけるらしい
暑くなるんやろうな
だいじょうぶかな
親父