小宮くん

昨日、卒業以来初めての高校の同窓会に出席した。
実は、卒業して以来、いつも心のどこかに残っている人物がいる。
小宮幸一くんだ。一年中のほとんどを黒いコートを羽織り、髪型は昔の井上陽水のようにアフロのような天然パーマ、そして無精髭。話す言葉は福岡弁。休み時間はたまに誰かと話をしていることもあったが、読書をしていることが多かったように思う。僕も彼からいくつか本をすすめられて読んだことがある。そして、自分なりの考えをもった人で、彼が納得できないであろうことは、誰に対してでも抗議をしていたので、学校の教師からも煙たがられていた。

そんな彼のエピソード。
体育の時間のこと。授業内容はサッカー。2クラス合同で授業を受けていたので、クラス対抗となった。それぞれのクラスで2チームができる。横2列で並んでいたので、前列は前列どうし、後列は後列どうしで対戦する旨を先生から伝えられた。その時にサッカー部のMくんが、前列と後列の一部を入れ替えようとした。戦力を片方の列に固めたかったからだ。サッカーが苦手なものはもしかしたらプライドを傷つけられていたかもしれない。少し頬を染めて困惑顔をしていたかもしれない。でも勝つためにはそのほうがいいのかもしれない、足をひっぱるよりはいいだろうと自分で自分を納得させていたかもしれない。声をかけられた者は列を入れ替わろうとしていたその時、「なんばしょっとねん!」と大きな声で抗議をした。その後は、一触即発状態になったか、殴り合いにまで発展したかどうかは記憶はない。でも、僕は心の中で拍手を送っていたのを覚えている。

ある昼休み時間のこと。渡り廊下のところで女の子たちのキャーキャーを叫ぶ声が聞こえた。近寄っていくと、Yくんが裏山から獲ってきた蛇を振り回している。その蛇を廊下に叩きつけたりもしている。それを周りでみんなが大道芸人を見るように見ていたのだ。そこへ彼が「なんばしょっとねん!」と駆け寄ってきた。そしてその蛇を奪い取り、泣きながら裏山へ消えていった。強烈に脳裏に焼き付いてるエピソードだ。でも、そんな彼に僕は声をかけることも出来なかった。

小宮くんは、3年の後半、学校に来なくなって、おそらく中退した。
小宮くん。君はいまどうしているのか。
会いたかった。