富豪タイフーン

 

世間から隔絶した世界に住む富豪の夫婦は
自分だけのセオリーで暮らす。
息子は小学校2年から学校に行かず
30年近い時間をかけて高校2年までの内容を
家庭教師の元で納得するまで学んできた、
分かった瞬間の感動が忘れられないという彼は
最近は「複素数」がお気に入りだ。
妻は、夫に隠して黙って生み育てた娘がいた。
30年間、部屋に閉じ込めて、一人で愛を注いできた。
そんな富豪の家に、新しい家庭教師がやってくる。
そこから物語が始まる。

それなりの調和が保たれていた富豪の家も
家庭教師によって破綻が始まる。
まるで未開の地に暮らす原住民に
新しい文化が流入していくように。

夫は、世界が危険に満ちていることに気づき
家の中に30年間暮らすことができるシェルターを作り
そこに閉じこもってしまう。
息子は、愛に目覚め、メイドと駆け落ちをする。
娘は、人を幸せにすることに目覚め、政治家になることを決意する。
妻は、家出をした息子を探しに出たまま帰ってこない。
そして、家庭教師は大手の企業に就職が決まり、東京へいく。

家庭教師だけが、普段の世界に戻るのだけれど
富豪の家族は、バラバラになってしまい、先が見えない。

幸せってなんなのか?
知ることによる「欠落」は、自分の「欠落」でもあり
世界の「欠落」だ。
それを自分でどのように受け止めるのかは
人それぞれだ。

家庭教師と娘がみた
地球の中心の夕焼けって
なんなんだったんだろう。
娘は顔をほころばせていたが
家庭教師は複雑な顔をしていた。
さすが!