かさぶた式部考

 社会問題と和泉式部伝説、一人の障がい者を中心にして、その母と妻の思い、そして和泉式部の性愛など、様々なことがちりばめられた重厚な演劇だった。

 少し前に戯曲を読んだ。方言だらけで、読みづらくよく分からない。なので声に出して読んでみた。すると、情景が浮かんできて、映像として頭に入ってきた。それでも一部、分からない方言があったけど、なんとなく雰囲気で理解していった。

 で、昨日、舞台を観た。頭の中の映像と融合して、実体化していった。音読するだけでは分からなかった方言も、舞台で演じられるとすーっと体に入ってきた。

 そして特に後半の薬師堂の舞台は想像していたよりも美しかった。高い位置にある小さな薬師堂まで、自然木の小道が曲線を描き、造られていて、般若心経が書かれた長い布の束が、左右に空から垂れ下がっている。自然木の小道の下にも、般若心経の短冊のような布が垣間見える。そんな神秘的な舞台で、尼僧が豊市と絡む魔性ぶりが背徳的で艷やかだった。

 いろんな要素がからまり、まるで万華鏡のようなお芝居。かまどの火で照らされ赤くなった伊佐の顔だけが浮かびあがりながら幕が降ろされていく最後のシーンは印象的だった。