罪だったり罰だったり

チケットをおさえた時に「罪と罰」も購入して上演までに読もうと思っていただのだけれど、そんな時間を生み出すことはできずじまいで。

だから、短編三作「罪だったり罰だったり」「Who are you? Why are you here?」「世の中は間違いに満ちていて、いつだって僕はそれを黙って見過ごす」だったのだけれど、二本目三本目が、「罪と罰」にどう関係するのかよく分からなかった。

一作目。

これは、癌を宣告され余命が少なくなったと感じた男が、高校時代に殺されてしまった同級生への復讐として、裁判では無罪になってしまった容疑者を殺害するのだけれど、真犯人は自分の父親であったという、あらすじだけで書くと、驚愕するような物語だ。

死を宣告された男が、死ぬ前に正義を実行したいと考え、法では裁ききれなかった殺人者を自らの手で葬り去りたいと思ったということなんだが、違和感を感じる。第一、その同級生というのは、友人でもなく、話をしたこともほとんどないという設定だった。殺害の動機があまりにも薄すぎるのではないだろうか。

男は殺害をして死体を処分するために実家に帰ってくる。そこで母親や妹夫婦たちと時間をともに過ごすのだが、僕はこの場面を観た時に、時間が遡って殺害する前の場面なのかなと思ってしまった。母親が男に「何か隠し事してないか」と問いかける場面があるが、とてもそんな様子に見えなかったからだ。

そして、真犯人は自分の父親だと分かった場面。それはとんでもないショックな出来事であると思うが、彼はそのショックよりも自分が間違って殺害したことに、すぐにシフトしてしまう。妹も然り。

短編などにせず、もっと人の心の動きを繊細に重厚に描いて欲しかったと思う。命に対して軽く扱っているように思われて、僕は感情移入が出来なかった。