森の慟哭

日本は世界最大の木材輸入国である。自給率はわずか24%(平成20年統計)で、オーストラリア(13%)、カナダ(10%)、アメリカ(8%)、マレーシア(6%)、チリ(6%)、ロシア(5%)、ニュージーランド(4%)、中国(3%)など、主に太平洋沿岸各国から大量の木材を輸入し、それぞれの森林生態系に多大な影響を与えている。

逆に日本国内では、皮肉にも伐採されなくなった人工林が荒廃し、土砂災害が発生しやくなっている状態である。2年前に訪れた吉野の山で伐採の体験をさせて頂いたことがあるが、「売れなくても木を伐採しないと山が荒れる、でも儲からない林業には跡継ぎがいない」と嘆いておられたのを覚えている。

今日、観た中井信介さん監督の「森の慟哭」は、主にマレーシア・サラワク州の森を取り巻く問題に焦点をあてた映画であった。サラワクは、かつて世界中に熱帯木材を輸出していた豊かな森を有していた。しかしその森林は急速に後退し、残された二次林も次々とアブラヤシ農園(パーム・プランテーション)やアカシア植林(製紙用チップ)に姿を変えていっている。パーム油はインスタント食品やスナック菓子などの食用製品、洗剤・化粧品などの工業製品に広く用いられていて、日本の日常生活に深く浸透しているものだ。

先住民族が住んでいた森林を、政府によって伐採権を与えられた企業が原生林を壊し、アブラヤシ農園に変えていく。単一樹種となった森の生態系は壊され、生き物が絶滅していく。そして生産性をあげるために撒かれた農薬で土地や水が汚染され、農薬被害で健康が害されていく。また、農園では、マレーシア人よりも安い賃金で働くインドネシア人やフィリッピン人が重宝され、地元の労働力が使われることも少ない。

先住民族のイバン族やプナン族の人たちは座り込み、道路を封鎖して土地を取り返そうとするが、警察が介入し、逮捕され暴力や拷問を受けたりしている。座り込んでいる姿は、辺野古や高江、そして大飯原発前に座り込んだ人たちと姿がだぶって見えた。

最後にプナン族マロン集落の代表アニさんが言う。「日本の方々は企業の伐採によって森の天然資源が急速に消えつつある現実を知って欲しいと思います。このままいくとすべて無くなってしまうでしょう。」

マレーシアの最大顧客は日本である。私たちの消費は、マレーシアの自然を壊すという犠牲の上に成り立っている。

“森の慟哭” への2件の返信

  1. 先日は、DFL上映会にお越しいただきまして、ありがとうございました。
    こちらこそ、よろしくお願いします。
    これからも、世間から注目されない問題を取り上げていきたいと思います。

  2. 又川さま

    いろいろ勉強になりました。
    ありがとうございました。
    世の中には知らないことのほうが多くて
    そして、知れば知るほど絶望感を味わってしまいますが…。
    でも、それを「怒り」に変えて、生きていきたいと思います。
    ってオーバーかな(笑)

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