海よりもまだ深く

切なくて胸が苦しくなるような映画だった。
とくに大きな出来事があるわけでもなく
ただ、なりたい大人にいまだになれていない大人を描いているだけだけど。
まるで、自分だ。

「あんたが種から植えたミカンの樹、こんなに大きくなったよ。
花も実もならないけどね。
でも、葉っぱに青虫なんかがいててね、なんかの役にたってるよ」

「『海よりもまだ深く』人を愛したことなんてないから
こんな毎日でも生きてられるんだよ」

樹木希林って、与えられた台本の台詞を言っているように思えない。
まるで彼女自身の言葉となって響いてくる。

まったく着地点を見つけることができないのは
自分だけなんだろうかと不安になるから
たぶん沁みるんだ、この映画は。

だから、何もかもうまくいっているあなたには
この映画は分からないと思う。